銀行はオワコンと言われるが、ゆうちょ銀行の年収はどうなんだろうか。
ゆうちょ銀行は、今後どうなるのかなあ。
こんにちは、月間2万人が閲覧する『サトルライフ』を運営しているサトルです。そんなお悩みや疑問にお答えしますので、是非ゆっくりと見ていってください。
僕自身は、みずほFG(中堅中小・大企業・ファンド営業)→M&A仲介→資産運用系ベンチャー→Web制作・Webメディア構築の個人事業主といった決してマネしないであろう道を進んでいます。
ここでは、これらの内容を解説していきます。
- ゆうちょ銀行の初任給
- ゆうちょ銀行の採用区分
- 有価証券報告書の平均年収は当てにならない
- ゆうちょ銀行の今後の年収
ゆうちょ銀行の同期の話、ゆうちょ銀行・日本郵政グループのIR資料を基に解説していきます。
- ゆうちょ銀行の銀行員
- これからゆうちょ銀行に転職・就職しようと考えている方
この記事を読むことで、なかなか年収は上がりにくいという現実が分かります。
ゆうちょ銀行の初任給
日本郵政グループのHPからゆうちょ銀行の初任給を抜粋すると以下の通りです。
- 総合職(資産運用・クオンツ):修士了は246,960円、大卒は238,000円
- 総合職:修士了は220,500~246,960円、大卒は212,500~238,000円
- 地域基幹職:修士了は177,200~198,460円、大卒は174,800~195,780円、その他は172,300~194,880円
ここから、総合職をボーナス3ヶ月分、地域基幹卒をボーナス2ヶ月分(将来的にボーナスはどのくらいもらえるの⁈)と仮定すると年収は以下の通りです。
- 総合職(資産運用・クオンツ):修士了は370万円、大卒は357万円
- 総合職:修士了は264~370万円、大卒は319~357万円
- 地域基幹職:修士了は248~278万円、大卒は245~274万円、その他は241~273万円
となります。
民間の銀行同様に、ゆうちょ銀行の1年目は薄給です。
ゆうちょ銀行の採用区分
ゆうちょ銀行の採用HPを見て、最近採用区分は大きく2つに分けられ、総合職と地域基幹職になったようですね。
以前は一般職もありましたが、他の銀行同様デジタル化の流れで、一般職の採用はありません。
総合職も2つに分かれており、全部で下記3つになります。
- 総合職
- 総合職(資産運用・クオンツ)
- エリア総合職
それでは、それぞれ解説していきます。
総合職
総合職の役割は、本社管理部門、企画部門、営業統括など業務は多岐に渡ります。
ただ、他の民間の銀行員よりは、業務内容の幅が狭く、やれることは限られています。
個人向けは、そこまで大きく一般の銀行と比較して業務に大差ないですが、法人サービスは非常に少ないです。
法人は、決済・預金業務だけなので、融資業務・海外支援業務・コンサルティング業務…ほぼ何もないといったも過言ではないです。
僕の大学の同期で数名ゆうちょ銀行に入行していましたが、バリバリと仕事に挑戦するというよりは、程よく働きたい人という方にマッチした職場ですね。
総合職(資産運用・クオンツ)
数理的な素養を活かして、金融工学、数学、物理学など専門分野の知識を活かして、ゆうちょ銀行の資金運用業務を行います。
ゆうちょ銀行では、貯金で吸い上げた莫大な資金の運用手段が少なく、いわゆる国債などの有価証券での運用に頼っており、ゆうちょ銀行で一番大事な職種です。
なぜなら、ゆうちょ銀行の売上高の大半を資産運用の利息や売却益で捻出しているから。数字は後述します。
エリア基幹職
支店勤務が中心で、金融商品の提案、住宅ローンの提案、事務作業となります。
他の銀行と比較しても商品数も限られていますし、定型的な業務が中心になります。
また、自分自身の銀行員生活を振り返るとこんな感じだったなというのを、漫画にまとめましたので、年収の推移と合わせて銀行員生活がどんな感じなのか伝わればよいなと思います。
【銀行員生活Part1】入社式・同期との絆が深まった新入社員研修
有価証券報告書の平均年収は当てにならない
それは、様々な業種の年収が合算されて平均を出されているから。
ゆうちょ銀行の有価証券報告書によると、以下の通りです。
- 2016年:654万円(42.5歳)
- 2017年:654万円(42.5歳)
- 2018年:669万円(42.8歳)
様々な業種の年収が合算されており、40代前半では総合職と一般職の平均年収の開きも出てくるので、以下の通りと認識しておいた方が良いです(支店長の年収は⁈)。
- 総合職:有価証券報告書の平均年収+100~200万円
- 一般職:有価証券報告書の平均年収-100~200万円
銀行の支店長の年収は?【800~2,000万円です】
ゆうちょ銀行の銀行員の年収が上がらない4つの理由
理由は以下の通りです(今後の銀行業界で間違いなく起きること)。
- 株主の要求は株価上昇←継続的な増益が求められるが困難である
- 従業員対比で利益が下落傾向にある
- ビジネスの幅が狭く、ほぼ運用頼みである
- 人員削減が一番早い経費削減手段になる
それでは、詳しく解説していきます。
株主の要求は株価上昇←継続的な増益が求められるが困難である
会社の持ち主である株主が求めているのは株価上昇で、安定した増益が欠かせないのです。
なぜなら、株主はキャピタルゲインを求めているので。
ただ、下記表のゆうちょ銀行の業績を見ていただくと、3期+予想1期ですが利益水準が長期的には下落傾向にあることが見て取れますし、2021年度は大幅に減益予想です。
この状況で、従業員に給料上げて人件費増えるよーって、株主に言ったら…。
株主側からすると利益出して株価上げてくれって言いますね…。
従業員対比で利益が下落傾向にある
この表をご覧ください。
従業員対比の経常収益・経常利益が下落しているのが読み取れますし、ここにはありませんが、2021/03期はコロナの影響もあり、さらに下がるでしょう。
結構厳しい状況ですね。
経営側の気持ちになった時には、利益を伸ばさないといけないので、人事制度を変更して、賃金カーブをなだらかにすることを考えたくなります。
ビジネスの幅が狭く、ほぼ運用頼みである
この表をご覧ください。
赤く塗りつぶしている箇所が売上の8割強を占めていますが、これは全て有価証券利息+売買益です。
つまり、経済が好調な時は良いですが、反転すれば一気に巨額赤字の可能性大です。運用次第なんですよ。ゆうちょ銀行の決算は。
結構リスクが大きいですね。
以前に僕も関わったことはあるので、運用のスペシャリスト達ですが、プロとはいえ相場を読み切れるわけでは無いです。
徐々にビジネスの幅は広がるのでは⁈
長期的には、その可能性は高いです。
ただ、長期的にはというのが肝で、他の民間の銀行がゆうちょ銀行業務拡大に黙っていないません。
なぜなら、ゆうちょ銀行が半官半民であり、他の民間銀行が同列とすることに反発が強いから。
- ゆうちょ銀行の株主:88%が日本郵政グループ
- 日本郵政グループの株主:56%が日本政府や地方公共団体
こんなニュースもあるぐらいです。
地域金融機関が、ゆうちょ銀行による4月からの預入限度額引き上げの影響を懸念している。日本経済新聞社が今春実施した「地域経済500調査」で、地域金融機関の経営トップに限度額が2倍の2600万円に引き上げられたことへの賛否を聞いたところ、「反対」が78%を占めた。「賛成」はゼロだった。競争条件が対等でないことへの不満も目立った。
出典:日本経済新聞「ゆうちょ銀限度額引き上げ、地域金融トップ「反対」78% 地域経済500調査 金融編(上)」
業務拡大には相当な時間が掛かりますので、急激な時代の流れの方がはるかに早い気がしています。
人員削減が一番早い経費削減手段になる
売上が伸びないとすると、経費を削減するしかないです。
その経費の中でも、カットしやすいのが、人員削減などの人件費です。
なぜなら、40・50代の社員を2,500人カットするだけで、毎年212億(=850万円×2,500人)程度の削減が出来るから(左遷コースとは⁈)。
以上4点から、年収UPは残念ながら現時点ではかなりきついですね。
なので、これから銀行業界への就職・転職を考えている人は、大手以外の銀行への就職・転職をおすすめしない4つの理由にも書いていますが、大手を目指しましょう。
それ以外なら他の業界の方がいいですね。
大手以外の銀行への就職・転職をおすすめしない4つの理由
出世コース以外のゆうちょ銀行の銀行員は厳しい現状が…
僕は一部の出世コース以外の銀行員の方は、日に日にリスクが高まっていると考えています。
なぜなら、業績が厳しい業界はいずれ淘汰されるからです。
まさか航空業界や鉄道業界がここまで苦境に陥るなんて誰も思っていなかったし、5年前までは銀行業界もここまで苦しくなるとは思われていませんでした。
が、現実に厳しくなってきています。
前述の給料が上がらない理由は数字面で見た事実になりますが、これからは実際にメガバンクや地方銀行で起きている現実の動きを挙げたいと思います。
- 年金削減
- 人材紹介サービス
- 部門ごと切り離し
- 本部の管理部門から営業部門への異動
- 支店の上のポストを削減
それでは、簡単にまとめていきます。
年金削減
かなり衝撃的なニュースがありました。
3番手のみずほは結構きついですね。相変わらず…
年金減額の対象は傘下のみずほ銀行、みずほ信託銀行の約3万5000人のうち53歳以下の社員。一方で、48~53歳の社員が2020年度中に会社を辞めた場合は減額しない「特例」も設けるという。
出典:Business Journal「みずほFG、現役行員の年金「一律減額」の大ナタ…バブル入行組の人員削減に実質着手」
結構大胆なことしますよね。相当早く辞めてほしいんですね。
これから他の銀行でも十分にあり得る話です。
銀行員でも退職金を当てにできない3つの理由【メガバンクも同様】
人材紹介サービス
金融庁が2018年に銀行の業務範囲を緩和して、地銀や信金中心に人材紹介業にスタートしました。
人材紹介手数料も入るし、取引先との関係も良くなるから。ついにメガバンクでも三井住友銀行が人材紹介業に参入しましたね。
三井住友銀行は人材紹介業に参入する。4月1日付でヒューマン・インベントリー(東京・千代田)の発行済み株式をすべて取得し、会社名を「SMBCヒューマン・キャリア」に改める。メガ銀行が人材紹介業に参入するのは初。
出典:Genius「三井住友銀が人材紹介業 メガ銀初」
今のところ各銀行も否定していますが、20代であろうが、30代であろうが2・3年後に出向という名の転籍も全然あり得るでしょう。
部門ごと切り離し
メガバンクでは、聞きませんが、他の金融機関や大手電機・自動車メーカーではこのような話を聞いています。
- 損保ジャパン日本興亜:2019年6月にIT活用による業務効率化で浮いた人材(全従業員の15%)を買収したワタミの介護事業に回す上に、希望退職を受け付けないので、退職する場合は自己都合ということで、退職金も大幅に減額されるという発表
- 超大手自動車メーカーA社:グループの部品メーカーB社と同様の部品を製造するA社工場があり、そのA社工場の社員1万人弱が強制的にB社に転籍させられ、賃金カーブもB社と同様にさせられる
- 超大手電機メーカーC社:とあるD事業部の業績が悪く、切り離して子会社となり、賃金カーブも変更
このような半分左遷ともとられかねない内容については、左遷される銀行員の5つの特徴【集団左遷のリアルな実態も記載】でまとめています。
左遷される銀行員の5つの特徴【集団左遷のリアルな実態も記載】
本部の管理部門から営業部門への異動
すでに三菱で公表済みですが、RPA+AIにより本部の業務を削減し、約3,000名の管理部門の人員を削減し、営業部門に配置転換させる予定です。
これは富士通でも同様の手法をとっていて、5,000名のうち2,850名が早期退職したようです。営業経験の浅い人間を営業に回し、嫌なら自主退職すればという内容です。
支店の上のポストを削減
これは、現実にメガバンクでも起きていますが、下記のように支店長・副支店長ポスト激減しています。
- 総合店舗(小さめ)→総合店舗(大きめ)に支店長・副支店長・法人部門が集約
- 個人店舗や総合店舗(小さめ)→複数店舗を一人の支店長が見る
これは、昨年からメガバンクを中心にすでに起きている話で、上のポストが無いので…こうなります。
- 支店長・副支店長の大半が出向
- 課長・次長が上に上がれないため詰まる
- 課長・次長候補が上に上がれない
- 不満が溜まるが、ポストが上がらないので、給料は全然上がらない(もしろボーナス・残業代が減り、年収が下がる)
みずほの同僚と話をしていても、若手で左遷されている人が増えてきているし、他メガバンクでもポストが無いため、昇格の遅れが目立ちます。
将来性のある銀行員と将来性の無い銀行員の特徴
【まとめ】ゆうちょ銀行の出世コース以外は超厳しい…
今回の記事をまとめるとこんな感じです。
- 今後もゆうちょ銀行の銀行員の年収は上がらない
- ゆうちょ銀行の超出世コース以外の方に、未来は…
結構厳し目に書いたのですが、ゆうちょ銀行に絶対入りたい、ゆうちょ銀行を変えてやるんだというバイタリティのある方は、本気で応援しています。が、それ以外の方は、やめておいた方よいかと。
銀行の今後がさらに気になる方は、銀行は今後どうなる?見通しは暗いです…をどうぞ。
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