メガバンクが人員削減を進める理由と間接的な5つのリストラ計画

メガバンクが人員削減を進める理由と間接的な5つのリストラ計画

メガバンクも人員削減しているし、どうなるんだろうか。
早々にリストラとかされることもあるのかなあ。
RPAとかAIでリストラが進むとか言われているし。

こんにちは、月間2万人が閲覧する『サトルライフ』を運営しているサトルです。そんなお悩みや疑問にお答えしますので、是非ゆっくりと見ていってください。

僕自身は、みずほFG(中堅中小・大企業・ファンド営業)→M&A仲介→資産運用系ベンチャー→Web制作・Webメディア構築の個人事業主といった決してマネしないであろう道を進んでいます。

ここでは、これらの内容を解説していきます。

  • メガバンクが人員削減を進める理由
  • メガバンクの「間接的なリストラ計画」

自分自身の経験、周りにいる銀行員仲間の話、ニュースを基にリアルな情報を中心にお答えします。

現役のメガバンク行員で、今後のリストラ計画や人員削減について気になる方はご覧ください。

この記事を読むことで、銀行員として働いていく中で、今まで以上に危機感を持って仕事に臨むはずです。

メガバンクが人員削減を進める理由

メガバンクが人員削減を進める理由と間接的な5つのリストラ計画

理由はこの3つです。

  • 生産性が低く利益を生み出していない店舗の統廃合
  • AIなどの自動化によるセルフ型の新型店舗の増加
  • RPA導入による人員削減

です。

現状、メガバンクが公表している人員・業務量削減策をまとめると以下の通りで、かなり思い切った削減策を打ち出しています。

  • 三菱:2023年度末までに8,000人の人員削減を発表
  • 三井住友:2022年度末までに本部人員3割削減、合計8,000人分の業務量削減を発表
  • みずほ:2026年度末までにグループ従業員を19,000人の人員削減を発表

他人事ではいられませんね。

そうですね。それでは、前述したメガバンクが人員削減を進める理由について解説していきます。

生産性が低く利益を生み出していないリテール部門

メガバンクの支店では、1人当たりの利益が非常に少ないのが課題ですし、銀行全体でも下落しているのが問題になっています。

下記表は、各メガバンクのグループ全体の生産性の低下を表しています。

従業員数は増加傾向にありますが、経常利益・1人当たりの利益は低下が読み取れます。

メガバンクの人員削減

結構人は増えていたんですね。

また、下記表は、各メガバンクのリテール店舗の生産性の低さを表している表です。

みずほに至っては、ほぼ業務を停止した方が良いレベルですし、他のメガバンクもリテール店舗が足を引っ張っていて、縮小するのは当然ですね。

メガバンクの人員削減

なので、支店の人員は相当削減が進むでしょう。

店舗の統廃合・AIなどの自動化によるセルフ型の新型店舗の増加

前述のとおり、一番生産性が低いリテール店舗にメスをいれるために、メガバンクが下記のような動きを進めています。

  • 三菱:23年度までに515拠点から40%の削減(17年度対比)
  • 三井住友:店舗数はほぼ維持、7割の店舗を資産運用など個人コンサルティング業務に重点を置く「軽量店舗」へ
  • みずほ:24年度までに約500拠点から130拠点の削減(17年度対比)

ただ、組織が大きい分動きはかなり遅いです。外資であれば2年ぐらいで進めるのでしょう。これらから考察すると、こんなことが考えられます。

  • 支店の一般職:リストラはされないが、今後も大幅に削減される
  • 個人・法人営業:ITツールの活用がさらに進み、単純な融資業務は不要、コンサルティングや複合提案が加速する
  • 支店長などの重要ポスト:40代前半~40代後半のITリテラシーの無い銀行員は不要になる

【銀行の一般職は無くなる】自ら稼ぐ力を付けよう!にもまとめていますが、一般職はリストラまではされませんが、厳しい立場になっていくことは間違いないですね。

RPAの導入を進めている

すでに定型の事務作業をRPAによって効率化するような流れが進んでいるので、本部の一般職もさらに削減されるはずです。

特に三井住友銀行が大々的に発信していますよね。さすが経費率が一番低い三井住友って感じです。

いずれ営業もやることが無くなりますかね…。

当面はそんなことは無いですね。このRPAの本来の目的は業務量削減後に、効率的な運営をして、営業に生産効率を上げさせるためのものなので。

従来は営業担当者が毎朝出社後に、その日訪問する顧客向けのリポートを手作業で作成していた。

この作業をソフトロボに代替し、ロボットが毎朝営業開始前に各営業担当者のスケジュールからその日に訪問予定の顧客の情報を洗い出し、その顧客が運用する商品の最新情報を収集して自動でリポートを作成するようにした。営業担当者はロボットから送られてくるリポートをチェックするだけで済み、作業時間を8割削減できたという。

出典:日経×TECH「RPAで年100万時間超を削減した三井住友FG、ソフトロボ1400台開発の極意」

なので、RPAにより一般職が削減されるのは間違いないですが、営業人員は微減していくのと、やることが変わっていくイメージでしょう。

メガバンクの将来性は当然十分にありますが、在籍している銀行員の明暗は今まで以上に厳しく分かれていくはずです。将来性のある銀行員と将来性の無い銀行員の特徴でまとめています。

将来性のある銀行員と将来性の無い銀行員の特徴

将来性のある銀行員と将来性の無い銀行員の特徴

メガバンクの5つの間接的なリストラ計画

メガバンクが人員削減を進める理由と間接的な5つのリストラ計画

これまで、メガバンクが人員削減を進める理由を述べました。

ここからはすでに始まっていたり、始まっていくであろうメガバンクの「間接的なリストラ計画」を取り上げていきます。

コロナ禍、afterコロナにおいては、銀行経営はさらに厳しくなるはずです。

  • 年金削減
  • 人材紹介サービス
  • 部門ごと切り離し
  • 本部の管理部門から営業部門への異動
  • 政府の声に反するベア見送り

それでは、解説していきます。

間接的なリストラ計画1:年金削減

かなり衝撃的なニュースがありました。

3番手のみずほは結構きついですね。相変わらず…

年金減額の対象は傘下のみずほ銀行、みずほ信託銀行の約3万5000人のうち53歳以下の社員。一方で、48~53歳の社員が2020年度中に会社を辞めた場合は減額しない「特例」も設けるという。

出典:Business Journal「みずほFG、現役行員の年金「一律減額」の大ナタ…バブル入行組の人員削減に実質着手

結構大胆なことしますよね。相当早く辞めてほしいんですね。

これから他のメガバンクでも十分にあり得る話です。

銀行が、人員・人件費削減のために強硬策にでています。

銀行員でも退職金を当てにできない3つの理由【メガバンクも同様】にも詳しくまとめていますが、退職金も年々下がりますね。

銀行員でも退職金を当てにできない3つの理由【メガバンクも同様】

銀行員でも退職金を当てにできない3つの理由【メガバンクも同様】

間接的なリストラ計画2:人材紹介サービス

金融庁が2018年に銀行の業務範囲を緩和して、地銀や信金中心に人材紹介業にスタートしました。

これにより、自身の銀行員を転籍させることも今後出てくるでしょう。

人材紹介手数料も入るし、取引先との関係も良くなるから。ついにメガバンクでも三井住友銀行が人材紹介業に参入しましたね。

三井住友銀行は人材紹介業に参入する。4月1日付でヒューマン・インベントリー(東京・千代田)の発行済み株式をすべて取得し、会社名を「SMBCヒューマン・キャリア」に改める。メガ銀行が人材紹介業に参入するのは初。

出典:Genius「三井住友銀が人材紹介業 メガ銀初」

現状は、自身の銀行員を取引先に転籍させることはしていないようですが、将来的にはあり得そうですね。

間接的なリストラ計画3:部門ごと切り離し

メガバンクでは、聞きませんが、他の金融機関や大手電機・自動車メーカーではこのような話を聞いています。

  • 損保ジャパン日本興亜:2019年6月にIT活用による業務効率化で浮いた人材(全従業員の15%)を買収したワタミの介護事業に回す上に、希望退職を受け付けないので、退職する場合は自己都合ということで、退職金も大幅に減額されるという発表
  • 超大手自動車メーカーA社:グループの部品メーカーB社と同様の部品を製造するA社工場があり、そのA社工場の社員1万人弱が強制的にB社に転籍させられ、賃金カーブもB社と同様にさせられる
  • 超大手電機メーカーC社:とあるD事業部の業績が悪く、切り離して子会社となり、賃金カーブも変更

このような半分左遷ともとられかねない内容については、左遷される銀行員の5つの特徴【集団左遷のリアルな実態も記載】でまとめています。

左遷される銀行員の5つの特徴【集団左遷のリアルな実態も記載】

左遷される銀行員の5つの特徴【集団左遷のリアルな実態も記載】

間接的なリストラ計画4:本部の管理部門から営業部門への異動

すでに三菱で公表済みですが、RPA+AIにより本部の業務を削減し、約3,000名の管理部門の人員を削減し、営業部門に配置転換させる予定です。

これは富士通でも同様の手法をとっていて、5,000名のうち2,850名が早期退職したようです。営業経験の浅い人間を営業に回し、嫌なら自主退職すればという内容です。

いきなり営業と言われてもきついですよね。同じことがメガバンクでも起きそうですね。

間接的なリストラ計画5:政府の声に反するベア見送り

昨年こそ、三菱は1.0%のベア回答となりましたが、三井住友は2年連続、みずほは4年連続のベア見送りとなりました。

今年はコロナで間違いなくそれどころではないでしょう。

このメッセージは、給料を上げることができないから、嫌なら早めに退職してくれという意思表示ともとれます。


ここまで、5つの間接的なリストラ計画を挙げてきました。

メガバンクも直接的にリストラをすることはなかなか出来ないので、このように従業員にとってボディブローのような攻撃を繰り出し、耐えられない人には早めに退職してもらうという手法を取っているようにも感じます。

【銀行員の転職活動記】年収1000万でも辞めました!

【銀行員の転職活動記】年収1000万でも辞めました!

3.【まとめ】メガバンクでも間接的なリストラ計画が進んでいく!

メガバンクが人員削減を進める理由と間接的な5つのリストラ計画

今回の記事をまとめるとこのような感じです。

  • メガバンクが人員削減を進める理由は、生産性が低く利益を生み出していない店舗の統廃合・自動化によるセルフ型の新型店舗の増加、RPA導入による人員過剰である
  • 今後は、年金減額、本部の管理部門から営業部門への異動、政府の声に反するベア見送りなどの経営陣からの間接的なリストラ圧力がより強くなっていく
  • 日本は、簡単に従業員をクビにすることが出来ないので、経営陣が従業員に対してボディブローを繰り出していくことが、今後もさらに増えていくのではないか

仮にそうなっても他でやっていく行動力・スキルを身に付けていくことが大切ですね。

2023年2月からサトルライフ再始動!ということでブログだけではなく、YouTubeも始めました。銀行員生活にモヤモヤしている方、銀行での試験勉強から一息つきたい方、銀行から転職したい方向けに、好きなことをたまに話しています。